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ギターのチューニングの話 (5) [音楽一般]

2月ももう終わりですね。 この2週間、一回も更新できなかったので、今月も "目標" の5回に届きませんね。[もうやだ~(悲しい顔)](まぁ、明日も更新すれば5回にはなりますが… (^.^;;)

とまぁ、だいぶ間が空いてしまいましたが、とりあえず一旦ギターのチューニングの話をまとめておきたいと思います。 以前の 2、3、4弦の関係を念頭に、5弦と4弦の関係、さらには 1弦 をどうすべきか、について考察してみます。

前回の記事 によれば、5、6弦の関係においては、6弦5フレットと5弦7フレットのハーモニクスを合わせるよりも、平均律的チューニング(6弦5フレットの実音と5弦解放音を合わせる) の方がよく、6弦を若干低めにするとなお "吉" である、とわかりました。
ここで、若干低め とはどのくらいなんでしょうね。
5弦解放を 110 Hz としたとき、6弦は ハーモニクスで合わせると 82.5 Hz、平均律に合わせると約 82.41 Hz ということでした。ここで、6弦5フレットと5弦7フレットの関係が 完全V度になるとすると、6弦の周波数を X としたときに以下の式が成り立ちます。
X * (2 ^ (5/12)) * 3/2 = 110 * (2 ^ (7/12))

これから、X = 110 * 2/3 * (2 ^ (1/6)) = 82.31 Hz となります。これは平均律で合わせた場合との差は1セントもないようですね。(1セントは 2 ^ (1/1200) の比)

では、5弦と4弦の関係も同じようになるように 4弦の周波数(Y)を決めてみましょう。
110 * (2 ^ (5/12)) * 3/2 = Y * (2 ^ (7/12))
Y = 110 / (2 ^ (1/6)) * 3/2 = 146.99 Hz

と出ました。これは ハーモニクスで合わせた場合の 146.67 Hz、平均律の場合の 146.83 Hz と比べると "若干" 高いですね。(2本の弦の間の周波数比をそれらの場合と比較して広くする必要があるわけなので 5弦を基準とすると6弦はより低く、4弦はより高く、ということになるわけです)

さて、それでは以前の記事に書いた 2~4弦の関係(周波数比が3:4:5) を保つようにして、さらに1弦を2弦5フレットと1弦7フレットのハーモニクスが同じになるように合わせると1弦の周波数(Z)は?
Z = Y (=110 / (2 ^ (1/6)) * 3/2) * 5 / 3 * 4 / 3 = 326.66 Hz

となります。これと 6弦の 82.31 Hz の関係は?? 
Z (= 110 / (2 ^ (1/6)) * 3/2 * 5/3 * 4/3) / X (= 110 * 2/3 * (2 ^ (1/6)) )
= 3/2 * 5/3 * 4/3 * 3/2 / (2 ^ (1/3)) = 3.97

だそうですよ。6弦と1弦は同じ E の音で2オクターブ違い、つまり1弦は6弦の4倍となるべきところなので、かなりいいセンいってますね。ハーモニクスだけで合わせると 320/81 = 3.95 倍 になってしまっていましたから。。。(^o^;;

というわけで、まとめると、
1) 5弦を 110 Hz に合わせる
2) 6弦5フレットの実音と5弦解放の実音が同じになるように合わせた上で、6弦を若干下げる
3) 5弦5フレットの実音と4弦解放の実音が同じになるように合わせた上で、4弦を若干あげる。(このとき、6弦解放と4弦2フレットのオクターブが合うようにするとよい、のかな?)
4) 4弦5フレットと3弦7フレットのハーモニクスを合わせる
5) 3弦4フレットと2弦5フレットのハーモニクスを合わせる
6) 2弦5フレットと1弦7フレットのハーモニクスを合わせた上で、1弦を若干あげる(6弦5フレットハーモニクスと1弦解放を合わせる、とよいのかな?)

てな感じでチューニングすると 歪んだ音で低音弦パワーコードと 2~4弦同一フレットのコード を多用する場合には気持ちよい、ということなのかな~ と思われます [わーい(嬉しい顔)]
なんとなく、感覚でやってたチューニング方法に近いかもなぁ~ (^o^)//


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ギタリスト兄弟 [音楽一般]

って、いえ、正確には 姉弟 なんですけれど。。。

前回の 題名のない音楽会 に 村治佳織さん、奏一さんのお二人が出演されていました。題して 「弦を奏でる音楽家たち」 というわけで、ギターのチューニングに関する考察の途中ですが、そちらは一休みして…

村治佳織さん、うちには何枚かのCDがあります。たぶん、10年以上前のものですが… (^_^;;
そして、コンサート(リサイタル) に行ったこともあったりします。五嶋龍さんと同じく、若いころから注目していたんですよ。 でもね、実は私自身はあまり好きではありませんでした。なんかね、これまでに何度か書いている "型どおりのクラシック" を体現されているように感じてしまって。。。

例えばですね、パガニーニのカプリース op.1-24 って曲がありますよね。たぶん元はヴァイオリンの曲だと思うのですが。(五嶋龍さんもデビュー・アルバムで演奏しています)
で、これを村治さんは 「espressivo」 というデビュー・アルバムで演奏しているのですが。
なんというか、昔自宅でよく聞いていた アマチュア ピアノ演奏家の演奏を聴いているようで、つまらなく感じてしまったんですよね。教科書通りの演奏、というか、なんというか。。。
で、その後 龍くんのデビューアルバムで同じ曲を聴くと、同じ10代の演奏ながら(村治さんは15歳、龍くんは17歳という違いはありますが)、全然違うんですよ、これが。龍くんの場合、内面から迸るものが溢れ出ている感じなんですよ。 さらに(比べるな!といわれそうですが (^ ^[あせあせ(飛び散る汗)])、同じような時期に Jake Shimabukuro の ukelele での演奏も聴いたのですが、これがまた龍くんと同じくらい感情が迸るというか情念にあふれるというか、音域にも制約のあるたった4本の弦(そのうち2本は同じ音程)で、ものすごい "再現力" を発揮しているのです。 てなわけで、比べてしまうとなんだかな~ と。。。

というわけで、若いころには物足りなさを感じていた村治佳織さんですが、年月を経てとても魅力的な演奏をされるギタリストになっていらっしゃいました。 またアルバムを購入して聴いてみたいと思いました[exclamation]

ところで、弟の奏一さん。マンハッタン音楽院で学ばれて現在もニューヨークに在住ということで、いろいろな音楽に接していらっしゃるとのこと。クラシックの枠を超えた交流もあるのではないでしょうか… お姉さんよりもより柔軟な音楽性を感じました。 (って、なんだかエラそうないい方ですけれど m(_ _)m ) 今まで聴いたことがありませんでしたが、こちらも今後、注目していきたいtと思います[exclamation×2]






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ギターのチューニングの話 (4) [音楽一般]

前回の記事の続きです。
実はこのシリーズ、あまり人気がないんですけど、自分のための再確認として書いているので、まぁそんなことにはかまわずに [わーい(嬉しい顔)]

前回、ギターの低音弦(4~6弦)をハーモニクスを使ったチューニングをした場合の、パワーコード (V度離れた2音を使ったコード) について考察しました。具体的には、6弦5フレットと5弦7フレットの A のコードの場合について、2つの音の間隔は 純正律の完全V度 の間隔よりも 2 セント 狭い と出ました。この関係は、純正律の完全V度に対する 平均律で V度離れた音の間隔の狭さ と同じです。(過去の記事 「音楽と数学。」 参照) ま、ギターのフレットは 平均律に基づいて打たれていることを考えると、当然の結果のように思われます。

ちなみに 6弦と5弦の 5フレット の2つの音を比較すると、
6弦5フレット = 82.5 * (2 ^ (5/12))
5弦5フレット = 110 * (2 ^ (5/12))
で、2 ^ (5/12) がどちらにも掛かるだけですから、その比は 82.5 : 110 でぴったり 3:4 です。(アタリマエ)

さて、ここで気になるのは 「じゃぁ、平均律でチューニングしていた場合の 同じパワーコードの2音の関係はどうなるんだ? と。

もう一度、4~6弦の周波数そのものを書いてみると、以下の通りです。([ ] 内は 平均律による)
6弦(E) : 82.5 Hz [110 / (2 ^ (5/12)) ≒ 82.41 Hz]
5弦(A) : 110 Hz [110 Hz]
4弦(D) : 146.67 Hz [110 * (2 ^ (5/12)) ≒ 146.83 Hz]

さて、平均律でチューニングした場合の 6弦5フレット の音と 5弦7フレットの音はそれぞれ、
110 / (2 ^ (5/12)) * (2 ^ (5/12)) = 110 Hz (まぁ、計算するまでもなく当たり前です)
110 * (2 ^ (5/12)) = 164.814 Hz
となり、その比は、1.4983 となって ハーモニクス によるチューニングをした場合と比べて 1.5 との差が小さい、つまり純正律の完全V度に近くなります。 ん??

な~んだ、ということはつまり V 度の2音だけを鳴らすパワーコードに関していうと、低音弦は平均律チューニングした方がよいってことなのか。。。!? あるいは、6弦は若干 それよりも 低めにするのが 吉 なのかもしれませんね。(他との兼ね合いによりますが)

さてさて、そこで気になるのは5弦と4弦の関係をどうするのが良いのか(2~4弦をハーモニクスでチューニングする場合)、、、 というワケでこのシリーズはもう少し続きま~す (^o^)    (って、結論は見えていませんけれどあしからず [ふらふら]


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ギターのチューニングの話 (3) [音楽一般]

うぅ… 今月もすでに6日が過ぎてしまいました。先月は4回しか更新できませんでしたが、今月は少なくとも5回!を目指したいと思います[exclamation] (って、ドーデモイイデスネ [ふらふら]

というわけで、今回は少し前に予告したギターのチューニングについて書いてみたいと思うのですが、以前の2回と比べると、「こうなんだよ!」 という結論が見えていない状態で考察しながら書いていくことになりますので、各回についてはすっきりしない内容になってしまうかもしれません。気長にお付き合いいただけますと幸いです。m(_ _)m (最終的に何らかの "結論" が得られるかどうかもわからないんですけど (^_^[あせあせ(飛び散る汗)]

とりあえず、以前の記事で予告した、低音弦(4~6弦)について考察してみましょう。

ハーモニクスを使ったチューニングをした場合の4~6弦のピッチ(周波数)の関係を再掲します。
6弦(E) = 5弦 × 3/4
5弦(A) = 6弦 × 4/3 (= 110 Hz)
4弦(D) = 5弦 × 4/3 = 6弦の 16/9 倍

5弦は6弦の 4/3 倍、4弦は5弦の 4/3 倍である、と。
ある音と その 4/3 倍のピッチの音と は、(純正律における) 完全IV度 の関係です。(cf. Wikipedia の音程のページ の 「周波数比と音程」 の項目) なので、それらの2つの音を同時に鳴らした場合、全く濁りのないきれいなハーモニーが成立します。そして "上級者" になると、ハーモニクスを使わないで解放弦を2つ同時に鳴らして(音が濁らないように)チューニングしていたりします。

ところで歪んだ音(ディストーション・サウンド)が前提な ハードロック/ヘヴィ・メタル では、隣り合う2本の低音弦を使った V度 の音程による いわゆる "パワー・コード" が多用されます。というわけで、今回はまず ハーモニクスを利用したチューニングがなされている場合の パワー・コード の音程 について考察してみたいと思います。

5弦(A) が 110 Hz とした場合の 6弦解放は 82.5 Hz です。(ちなみに 5弦を基準として平均律でチューニングした場合の6弦のピッチは 82.41 Hz となります) では、6弦(5フレット)と 5弦(7フレット) で A のパワー・コードを鳴らした場合の周波数の関係はどうなるでしょうか…
まず6弦5フレットの音は、82.5 * 2 ^ 5/12 でおよそ 110.124 Hz となります。5弦解放の 110 Hz とは 0.124 Hz, およそ 2セント の差がありますね。
次に 5弦7フレットの音は 110 * 2 ^ 7/12 でおよそ 164. 814 Hz となります。
純正律における 完全 V 度の周波数比は 1 : 1.5 なのですが、上の2つの音の周波数比はおよそ 1.4966 となります。純正律の完全 V 度の音程とは同じくおよそ2セントずれています。

うーむ。これって結局のところ以前の この記事(リンク) で書いた 「純正律と平均律での 完全 V 度の差」 と同じじゃないですか。あたりまえ? うーん、そうですね。アタリマエの結論かもしれません (^_^;;
[2016/2/11 追記: 6弦5フレットと5弦解放は完全IV度より広い のに対して、6弦5フレットと5弦7フレットでは完全V度より狭い、という違いがあります。ただ、これは IV 度 と V度を足すと1オクターブになることから "同じ事象の裏返し" ということになります。Wikipedia の 倍音のページの「各倍音と倍音列」 の表によれば ここでおよそ 2 セントといっている値は1.955 セントということになるようです。]

じゃぁ、この低音弦パワー・コードを気持ちよく響かせるためのチューニングはどうすればよいのか[exclamation&question] 次回(?) もう少し突っ込んで考察してみましょうか。。。(自信ナシ [ちっ(怒った顔)]



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