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音楽と数学。 [耳と、音と。]

音楽を聴く人、演奏する人、の多くはたぶんその関係を意識していないと思いますが、演奏する人の多くは 音 の性質 における 数学的な "誤差" に無意識に "対処" しているはずです。

音階の1オクターブは、"半音" 12個で構成されています。A を起点とすると、A, B♭, B, C, C#, D, E♭, E, F, F#, G, G#, で次がオクターブ上の A というわけで。
このオクターブを "指数的に" 12等分 したものを "平均律" と言います。 A = 440 Hz とすると、各音は一つ前の音の周波数 × 2 ^ (1/12) で、以下のようになります。(ここで ^ は指数演算(べき乗)を表します)

A = 440 Hz
B♭ = 466.16 Hz
B = 493.88 Hz
C = 523.25 Hz
C# = 554.37 Hz
D = 587.33 Hz
E♭ = 622.25 Hz
E = 659.26 Hz
F = 698.46 Hz
F# = 739.99 Hz
G = 783.99 Hz
G# = 830.61 Hz
A = 880 Hz

一方で、A と E は、完全5(V)度 の関係とされ、その場合、A と E の音の周波数の関係は本来は 2 対 3 の関係、つまりE の周波数は A の 1.5 倍 となります。440 Hz の 1.5 倍は 660 Hz ですが、上記 (平均律) では E の音の周波数は 659.26 Hz となっており、そこには 0.11 % の "差" があります。(このような誤差を 半音の "指数的な" 1/100 を基準にして ~セントの差、と表しますが、それによると 約 2 セントの差になります)

単音で聴き比べた場合に 2 セント(半音の "指数的な" 1/50)の音程の違いを聴きわけられる人がどのくらいの割合かはわかりませんが、A (440 Hz) と E (659.26 Hz) を和音として鳴らした場合、少し違和感を感じる人はそれなりにいると思います。とくに、歪ませて(=倍音が強調される)かつサスティーンが長い(あるいはフィードバックのかかった) ギターによる和音の場合(つまりハードロック、ヘヴィ・メタルの場合) にはその違和感は非常に大きなものになります。というか、実際に "うなり” ((倍音の)周波数のズレの大きさに応じた音の強弱) が生じてしまうのです。。。

いろいろなキー(調) で演奏する前提の ピアノなどの鍵盤楽器は、一般的には 「平均律」 で調律されるのですが、特定のキーの曲を演奏するコンサートでは完全な「平均律」の調律ではないようですが、よくわかりません。m( )m

一方で、"歪ませたギター" の世界では当然のようにこれを意識したチューニングがされるのです。(いわゆる電子チューナーで各弦の音を平均律の E, A, D, G, B, E と合わせるのでは気持ちよくないのです!)
有名なところでは EVH (エディ・ヴァン・ヘイレン) チューニング。これは以前書いた "半音下げ" チューニングのことではなくて、解放弦を使った E (実際は E ♭) や A (実際は G#) のコードや ”ハーモニクス" がキレイに鳴る(調和する) ようにしたチューニングです。(Van Halen の曲が特定のキーばかりなのには理由があるのです [わーい(嬉しい顔)]) なので、コードを弾く以外の場面では(コードによってはそれを弾く場合も) 一つ一つの音に対して、"軽くチョーキングする" とかの対処が必要になるわけです。特に ツイン・ギターのハモリとか管楽器と合わせるとかの場合には。。。

自分は大学時代に "音響学" を学んでそんなことを知ったのですが、最近 プロ・ミュージシャン として活躍している友人と話したときに 「えー、そうなんだ、知らなかった!」 と驚かれたので書いておこうかと思いました。(彼は、体感的に上記に "完璧に" 対処しているのですが、なんでそうなのかを考えたこともなかった、、、と。まぁ、当たり前だと思いますけれども。)

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